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小麦畑のある景色

短い夏の間、大地に輝く黄金の小麦畑。
寄稿記事vol.3はゆうべつ夏の風物詩ともいえる小麦畑についてご紹介します。


7月下旬になると、秋まき小麦の収穫がこのオホーツク管内でもあちこちの市町村で始まります。
秋まき小麦は、前年のタマネギやビート(甜菜~別名「砂糖大根」)などの収穫直後の畑に播種され芽吹き、降雪前には畑は緑色に覆われます。
融雪時に越冬した小麦は残雪の中で緑鮮やかに見えます。

タマネギの移植やジャガイモやビートの播種が終わり、畑が緑で覆われてくると、小麦は出穂(しゅっすい~穂が出ること)が始まり、小麦の色は淡い緑に変化してきます。

そして収穫期を迎えた小麦は薄茶色に変色し周りのタマネギやビートの緑とコントラストを形成します。
特に晴れた日に夕陽を浴びると、黄色や金色に近い色で輝くように目に映ることがあります。

ここ湧別町のえんゆう農業協同組合で作付けしている小麦は、多収量で倒伏に強く、うどん用に国内で一番多く使用されている「きたほなみ」という品種だそうです。

小麦の収穫は農協ごとにある小麦生産組合で作業しています。
以下の写真は大型コンバインでの収穫作業で、収穫した小麦は10トンダンプトラックに移し替え、小麦乾燥貯蔵施設に搬送します。

小麦の収穫は天気との闘いです。
収穫した小麦の水分が多いと乾燥に時間がかかり燃料費が嵩みます。
そのため、降雨後の収穫は小麦の水分含有量が一定値以下になってから収穫します。
また、穂の中の小麦は種子ですから、長雨が続くと「穂発芽」といって穂の中で発芽してしまい、品質が低下し価格が下がります。
ですから、晴れている間に如何に多くの面積を収穫して利益を確保するかが勝負になります。

そのため、天気予報で雨模様の予報が出れば、雨が降ってくるまで出来るだけ収穫面積を増やそうと夜間作業を行うことになります。
小麦収穫の共同作業は交代での出役にはなりますが、収穫が終わるまで半月ほどかかります。

小麦の収穫が終わると、コンバインから吐き出された麦わらが列になって畑に残ります。
この麦わらは牧草のようにロールベーラという機械でロール状に巻かれて、集められます。

麦わらロールが収穫された畑に転がる風景も普段と違う風景ですが、雨に当たらないうちに直ぐに酪農家へ運ばれます。
この麦わらは大半が牛舎の床わらとして利用され、一部は和牛の餌としても利用されます。
畑に残ったわらと根の残渣は畑にすき込まれて腐敗し、土壌の養分となります。
小麦は大手製粉会社に販売されますが、私たちも湧別町で作られた小麦をうどんとして食べているかもしれませんね。


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